米澤 穂信 「リカーシブル」
タイトルは「リカーシブル」ですが、本文に入る前に「リカーシブ」という言葉の意味が書いてあります。
「再帰的な」という形容詞で、うーん、あんまり聞かない言葉でよくわからん。
お話は、ママと、弟のサトルと、主人公のハルカが坂牧市に引っ越してくるところから始まります。
ハルカは中学生で、ママとサトルは本当の親子ですが、ハルカは違います。
ハルカの父親がある事件を起こして行方をくらまし、残った3人が引っ越しせざるを得なくなってこの町に来たのです。
そしてこの町で、サトルには予知能力があるのかという疑いをハルカが持ったところから、町に伝わっている民話の話に繋がり、タマナヒメがどうのこうのと昔の事件に繋がって行きます。
正直、話はそれほど盛り上がりもなく、ラスト近くで事件が起きてやっと動いたかと思ったら、若干話が大きすぎる感じに回収されていきました。
どうなのかなあ、これはこれで、ファンの人にとってはそうきたか!と思える回収だったのかなあ。
地方都市というのが、一つのポイントですね。
私としては、ストーリーよりも、中学生なのに、いじめられらないように、目立たないようにとあれこれ気を使いながら学校生活を送る、とても頭のいいハルカの心情表現が多すぎるように感じて、今時はこういうものなのかと何とも言えない気分になったことの方が印象に残りました。
読み終えて、家族の大きな問題が浮き彫りになって、それが何とも言えない後味の悪さに繋がっていくわけですが、その部分がちょっと薄っぺらいと言うか、ママの描き方が平べったいというか、いやいやだからこそあの不気味さが浮き上がってくるんじゃないのかとか、そういうところはやっぱり米澤作品だなとか、頭の中がぐるぐるでした。
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