中江 有里 「残りものには、過去がある」
ある結婚式の披露宴に出席した人々を描いた6つの短編集。
一つ目は花嫁のレンタル友人が語り手で、この語り手自身の心のわだかまりが消えたことで変わったであろうそのスピーチが、とてもよかった。
いくつ目かで花嫁が語り手になる話もあり、レンタル友人のスピーチなのに感激したことも書かれていて、うまいなあと思った。
どの語り手もそれぞれに過去、傷があるのだけれど、披露宴を通し、心が癒されていく。
そして、最後の語り手のなんと魅力的なこと。
それぞれに暗い過去を書きながら、書き方には悲惨さとかしつこさがなく、読後感がよくて好きな作品の一つになった。
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