鎌田 慧「自動車絶望工場」
自ら季節工としてトヨタで働いた体験(1972年)を書いたルポルタージュ。
絶望的に続くベルトコンベア作業の苛酷さがすごかった。
日記調なので、ずっと読んでいるとしんどくなってくる部分もあり、もうやめよかな、とか思ったりもしたのですが(笑)、読まないとわからないしんどさでもありました。
以下、あとがきから。
電気工場の女子労働者に会った時、彼女は「ベルトコンベアは見ているのと、実際仕事をしているのではスピードが違う」といった。この言葉はぼくを強く打った。それまで取材で何度かコンベア労働は「見て」いた。そしてそれに従事している労働者たちの話も聞いた。しかし、ぼくはそのとき何を理解していたのだろうか。「単調労働」「単純反復作業」などの単語の中に、実際労働している人の精神的肉体的疲労感が、その絶望的な飢餓感がどれだけ含まれているのか、それは見聞きするだけでは、「理解」できるものではなかった。日々の無限の繰り返しの労働の中でこそ、ようやく、ベルトコンベアの悪をと捉えることができるのを、六か月の体験の中で初めて知った。
荻原 浩「愛しの座敷わらし」
食品メーカーに勤める父、晃一の左遷で、東京から東北の田舎町へ引っ越してきた高橋一家。晃一は家族に内緒で独断で築200年の古民家を選ぶ。そこで始まった新しい生活の中で、誰もいない場所で聞こえる足音、鏡に映る人らしき姿・・・
なかなかよかったです。
家族が絆を取り戻していく過程に無理がなく、じんわりと心の中に暖かいものが広がってきました。
現代社会での携帯にまつわる問題点などもさりげなく取り込まれ、そんなことはたいしたことじゃないな、と思えるようになって心が軽くなり、少しずつイキイキしていくのが好ましいでした。
自ら季節工としてトヨタで働いた体験(1972年)を書いたルポルタージュ。
絶望的に続くベルトコンベア作業の苛酷さがすごかった。
日記調なので、ずっと読んでいるとしんどくなってくる部分もあり、もうやめよかな、とか思ったりもしたのですが(笑)、読まないとわからないしんどさでもありました。
以下、あとがきから。
電気工場の女子労働者に会った時、彼女は「ベルトコンベアは見ているのと、実際仕事をしているのではスピードが違う」といった。この言葉はぼくを強く打った。それまで取材で何度かコンベア労働は「見て」いた。そしてそれに従事している労働者たちの話も聞いた。しかし、ぼくはそのとき何を理解していたのだろうか。「単調労働」「単純反復作業」などの単語の中に、実際労働している人の精神的肉体的疲労感が、その絶望的な飢餓感がどれだけ含まれているのか、それは見聞きするだけでは、「理解」できるものではなかった。日々の無限の繰り返しの労働の中でこそ、ようやく、ベルトコンベアの悪をと捉えることができるのを、六か月の体験の中で初めて知った。
荻原 浩「愛しの座敷わらし」
食品メーカーに勤める父、晃一の左遷で、東京から東北の田舎町へ引っ越してきた高橋一家。晃一は家族に内緒で独断で築200年の古民家を選ぶ。そこで始まった新しい生活の中で、誰もいない場所で聞こえる足音、鏡に映る人らしき姿・・・
なかなかよかったです。
家族が絆を取り戻していく過程に無理がなく、じんわりと心の中に暖かいものが広がってきました。
現代社会での携帯にまつわる問題点などもさりげなく取り込まれ、そんなことはたいしたことじゃないな、と思えるようになって心が軽くなり、少しずつイキイキしていくのが好ましいでした。
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