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なんやかんや
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山本文緒 「なぎさ」

なんでこの本を借りたのか覚えていないのだけれど、予約の殺到している本らしく、「プラナリア」よりはこちらの作品の方がよかった。


冬乃と彼女の夫の佐々井、冬乃の妹の元漫画家の菫、お笑いの世界で失敗して佐々井と同じ会社に勤める川崎、菫の知り合いのモリ、その他何人かの登場人物が出てくる。

それぞれの抱える問題は特別ひどいというものでもなく、各自が息苦しさと少しずつ向き合っていく過程が丁寧に書かれていた。

菫が姉の冬乃を誘ってカフェを開き、そしてそれほどたたない内に冬乃に内緒で売ってしまう中で、冬乃は、自己評価が低すぎるのは高すぎるのと同じくらい鼻持ちならない、と気づく。

モリの胡散臭さも、川崎の軟弱さも、今の世の中によくあることかもしれない。

「寄せる波よりも、引く波の力が強い。、、、恐怖と誘惑が寄せては引いていく、、、」この感覚を元に、それぞれがそれぞれの場所で決心していく。

それぞれが小さいけれど大変だけれど頑張って生きていく!という活力にあふれた内容というのではなく、悩みながら、あっちにぶれこっちにぶれながら、やや暗いトーンで進んでいく話でしたが、読み応えのある作品だと思いました。

「生きていくということは、やり過ごすということだよ。、、、、」という台詞を初老の所さんが言ってくれる部分、目上の人が目上の役目を果たしてくれるという感じでよかったなあ。






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