芦沢 央 「カインは言わなかった」
これまた強烈な作品でした。
バレエの話、ではあるのですが、色々な関係者が登場して、章毎にそれぞれの視点で話が進んでいき、ラストにつながっていきます。
「世界のホンダ」と崇められるカリスマ芸術監督率いるダンスカンパニー。その新作公演三日前に、主役が消えた。壮絶なしごきにも喰らいつき、すべてを舞台に捧げてきた男にいったい何があったのか。“神”に選ばれ、己の限界を突破したいと願う表現者たちのとめどなき渇望。その陰で踏みにじられてきた人間の声なき声……。様々な思いが錯綜し、激情はついに刃となって振るわれる。」
この誉田の存在感が半端ない。
でもって、芸術って何なんだろうと考えずにはいられません。
突然いなくなった誠に代わり、誉田に徹底的にしごかれる和馬。
その凄まじさ。
なんとしても食らいつきたい和馬はどうなるのかがずっと気になるのですが、終盤にきて驚きの展開。
和馬がしごかれていた事実の理由を知った時、唖然となります。
誉田、こわい、、 なんや、、こいつ、、、みたいな。
ですが、ラストまで読んだ時、少し救われるのです。
作品の締めくくり方もすごいなあと驚きでした。
ただ、誠の弟の豪とモデルの関係のあれこれについてはちょっとよくわからなくなってしまい、気にはなったのですが振り返るのもしんどかったので、まっいいかと読み終えてしまいました。
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