忍者ブログ
なんやかんや
Admin  +   Write
冲方 丁 「もらい泣き」

いい本でした。
まず、「ぬいぐるみ」で泣きました。
最後の方では、冒頭に「ラブラドール」の文字が見えてヤバいなと思った話、ジョニーを思い出してやっぱり泣きました。
地味にぐっとぐるなあという話もありました。
そして、読み終えて心に残るのは、全部の話の根底にあるもの、みたいな感じ。
よかったです。

拍手[3回]

PR
門井 慶喜 「銀河鉄道の父」

第158回直木賞作品。
まったくもっていつ予約したのかさっぱり覚えておらず、直木賞受賞作品だということもさっき調べてわかったところ。
そうだったのか、ふむ。
全体的にあまり起伏がない感じで、読むかどうかちょっと悩みながら読みました。
半分程読んで、何とか読んでみようと挑戦。
面白くないというわけでなく、多分、好みの問題だろうと思います。

「国民作家・宮沢賢治は、岩手県花巻に祖父の代から続く裕福な質屋に生まれた。長男で家を継ぐ立場だったが、学問の道へ進み、創作に情熱を注ぐようになる。そんな賢治の父・政次郎は地元の名士であり、篤志家でもあったが、賢治は父とは異なり、社会性や生活力には著しく欠けていた。最愛の妹トシとの死別など、紆余曲折に満ちた賢治の生涯を、父の視点から描いた『銀河鉄道の父』。」

賢治の父の政次郎さん、いい人なんです、親バカで。
親としての感情がずっと、上手く描かれていたなと思います。
たとえば、娘のトシが東京で病になり、医者から小田原での転地療養を勧められたのに、「まっすぐ花巻に帰れ」と言ってしまったこと。
でもそれは粗末にしたわけではなく、金銭的な問題からで、政次郎さんはその時、初めてお金がなくなることへの恐怖を覚えていたのです。
トシは花巻に戻ってから温泉地に行って回復したのだけれど、しばらくして命が危なくなってきた時、そういうことが真っ先に後悔のたねになってしまうのですね。
ついつい小切手を送ってしまう政次郎さん、賢治への接し方に色々迷っている姿には、かわいいな、なんて思ってしまうこともあり、そういうところはとても面白かったです。
表現にも、ぐっとくる箇所がいくつもありました。
でもやっぱり、若干読みにくかったかなあ。




拍手[2回]

伊吹 有喜 「彼方の友へ」

「少女雑誌の編集部を舞台に女性の主人公が奮闘するお仕事小説であると同時に、昭和12年から20年という“戦争の時代”を描いた小説」

物資が制限され、休刊を余儀なくされ、それでも戦争直後に再刊された雑誌を多くの書店が買いにくる。
いいシーンだと思いました。
中盤あたり、空井先生の代原に波津子の「フルーツポンチ大同盟」を載せると決めた時の、有賀主筆の適切で素早く細かな指示とその受け答えのやり取り、波津子の書いた原稿を中心に一つのものを作り上げていこうとする場面は、目の前で雑誌のその部分が出来上がっていくのが目に見えるようでもあり、波津子のおろおろする姿が見えるようであり、人物一人ひとりの声や動きが思い浮かんで迫力もあり、ワクワクしながら読みました。
意地悪とかもあるのですが、ラストまでずっとあたたかな眼差しが感じられる、いい作品だと思いました。


拍手[3回]

柴田 よしき 「さまよえる古道具屋の物語」

「その店は、人生の岐路に立った時に現れる。さかさまの絵本、底のないポケットがついたエプロン、持てないバケツ……。古道具屋は、役に立たない物ばかりを、時間も空間も超えて客に売りつけ、翻弄する。不可思議な店主の望みとは何なのか。未来は拓かれるのか? 買い主達がその店に集結する時、裁きは下され、約束が産まれる。」

第1話を読み終えたところで、こんな感じで話が6つあるのかな、と思っていたら、第2話から少しずつ繋がって行き、俄然面白くなっていきました。
ある日突然、こんな所にあったのかな?と見つけてしまう古道具屋。
そこからして既に怪しく、引き込まれます。
そこで役に立たない様々な古道具を買った人々が、終盤、そのお店で終結することになり、怪しげな店主のことも明らかになっていきます。
最後の方で「物は人の執着を欲しがる。人がいつまでもその物に囚われていることを望むんだ。だから物とは、適当なところで別れた方がいい。」云々、考えさせられる人も多いと思います。
子どもを亡くしたみずきにはむごい内容にも思えます。
ですが、大切なことは「執着しない」ということ。
現実をしっかり受け止めて、未来に目を向けて。
とまあ、こんな感じで終わっていくのですが、ラストは説明口調がちょっと気になったのと、繋がっていく面白さはあったのはあったのですが、無理やり繋げていってない?という気も少ししました。








拍手[2回]

安田 依央 「たぶらかし」

「元舞台女優のマキ、39歳。あやしげな事務所に所属し、市井の人々の中で誰かの代役を務める「役者」を仕事にしている。多忙なセレブ母の代理として子供の学校に赴いたり、夫の親戚との付き合いを厭う新妻の身代わりや、更にはワケありな葬儀での死体役まで、様々な役柄をこなしている。そんな中、あやしい青年・モンゾウがマキに無理やり弟子入りしてきて……。」

実際問題として、こんな仕事、本当にあったら怖いんですが、そこが面白いところでした。
タイトルのインパクトが少しきついかな、と思いましたが、会話が生き生きしていて楽しかったです。
この手の会話は私の好みだなあとつくづく思いました。
代役を務めている内に色々な問題も出てきて、それなりに解決していって。
終盤の、葬儀代がなく提携先の葬儀屋に放り出されて、、、のあたりから、それなりに調和した終わり方になっていきました。
ずっと前に荻原浩の作品でレンタル家族を扱ったのがありましたが、それを思い出しました。




拍手[2回]

塩田 武士 「騙し絵の牙」

「痛いほど圧倒的リアリティ、ウィットに富んだ会話の応酬!
大手出版社で雑誌編集長を務める速水輝也。誰もが彼の言動に惹かれてしまう魅力的な男だ。ある夜、上司から休刊を匂わされたことをきっかけに、速水は組織に翻弄されていく。すると次第に彼の異常なほどの“執念”が浮かび上がってきて……。斜陽の一途を辿る出版界で牙を剥いた男が、業界全体にメスを入れる!」

出版業界の難しさを、これでもかと言うほど突きつけられ、結構厳しいものがありましたが、読み応えがありました。
編集者の気配り、努力がどれほどのものか。
読みながら、「私も図書館で借りて読むばっかりだし・・・」と、ちょっと申し訳ない思いもしました。
それにしても、こんな厳しい世界を描きながらの速水の会話のすごさ、面白さ。
ちょっとやりすぎかなと思う部分もありましたが、その辺は、大泉洋のイメージとも合ってるかなと思いました。
でも、それ以外では、私としてはちょっと合わなかったです。
少し長めのエピローグ、ここでの着地にも驚きです。
これはこれでありなのかな。



拍手[2回]

伊坂 幸太郎 「クリスマスを探偵と」

この小説のあらすじは、伊坂さんが大学1年生の時に書いた小説をもとにしたものだそうです。
大人のための絵本といった感じです。
主人公の冴えない男、カールが、公園で出会った青年と話し合っているうちに、ちょっと見方を変えてみることのすばらしさに気づいていきます。
心あたたまる、いいお話でした。

拍手[2回]

月村 了衛 「影の中の影」

中国人民解放軍による悪魔の所業から逃れ、日本潜伏中のウイグル人亡命団。彼らの事件を追う日本人女性ジャーナリストは亡命団に接触中、証拠隠滅を図る中国の刺客に襲われた!そして亡命中の一人の男性が「カーガーを頼れ・・・」という謎の言葉を残し亡くなった。

紹介していただいた通り、面白かったです。
一気読みでしたが、私の一気読みは結構日数がかかっております。
曾埜田のことは、何となくわかりました。
こいつやろな、と。
でも、最後、菊原組組長のことは、やられたなーと思いました。
戦闘シーンとかは、想像してみても具体的な動きとかは私の貧弱な想像力ではわからないこともたくさんあったのですが、その迫力だけはものすごく伝わってきました。
たくさんのやくざが出てきて、たくさん死んでしまい、つい涙も。
緊迫した雰囲気の中でのやくざの新藤の軽口もよかった。
「コウモリの解剖したかて誰が文句言うかい」の部分では、笑ってしまうほど。
月村了衛の「土漠の花」は、「今まで読んで面白かった本」を思い出そうとした時、絶対に入る一冊でした。
やっぱりよかったです、月村了衛。

拍手[1回]

内田 純 「Bハナブサへようこそ」

BはビリヤードのBで、元世界チャンピオンが経営する「ビリヤードハナブサ」の常連客が、この店に持ち込まれた4つの殺人事件について、ビリヤードそっちのけで推理を繰り広げていきます。
解決するのは、ここでアルバイトしている青年です。
ピピッと閃いて解決していく感じとかは、名探偵コナンみたいだなと思いました。
ビリヤードの技を事件の解決と関連付けていくのですが、技の説明もあるので、ビリヤードをあまりしない私でもすいすい読めました。
あまり切羽詰まった感じはなく、かといって軽い感じでもなく、ほどよい重さの流れ。
読み進めるにつれ、常連客のことも少しずつわかるようになり、楽しめました。
こんな風にみんなで集まって楽しめるお店、あればいいな。


拍手[3回]

阿部 龍太郎 「等伯」上・下

「天下一の絵師をめざして京に上り、戦国の世でたび重なる悲劇に見舞われながらも、己の道を信じた長谷川等伯の一代記を描く傑作長編。」
葉室麟の「乾山晩愁」繋がりで、等伯を読んでみました。
能登の武家に生まれ、絵仏師の長谷川家の養子となった信春(等伯)の苦労の数々が上下巻ともに溢れています。
読み終えて、等伯って生きるのが下手というか、どちらかというとあまりぱっとしない印象を受けましたが、そういうところが人間臭くていいのかもしれません。
信長、秀吉、三成という時代のせいでもあるのか、利休のこととかも面白かったのですが、色々なことがありすぎて盛りだくさんで、若干しんどかったです。
同じ時代を狩野永徳が生きていて、狩野家には狩野家の大変さがあり、その確執からくるラストは一気に読みました。
絵のことはさっぱりわからないし見る目も全然ない私。
長谷川派ってその後どうなったのかなとちょっと気になりました。


拍手[3回]

≪ 前のページ   *HOME*   次のページ ≫
カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
7 9 10 12
14 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
最新コメント
[10/05 ♪]
[05/29 snow]
[05/29 ゆみ葉]
[05/29 ゆみ葉]
[08/19 snow]
最新記事
(07/15)
(07/13)
(07/11)
(07/08)
(07/06)
最新TB
プロフィール
HN:
管理人
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(01/03)
(01/06)
(01/17)
(01/20)
(01/21)
アクセス解析
フリーエリア
material by bee  /  web*citron
忍者ブログ [PR]